2013年6月11日火曜日

ポラロイドカメラ SX-70

発売 1972年
レンズ 4枚構成116㎜F8光学ガラスレンズ
撮影範囲 26㎝~無限遠
露出 自動露出AE機構内蔵(明暗コントロール付き)
バッテリー フィルムパックに内蔵
シャッタースピード 14秒~1/180秒 無段階電子シャッター


 

発売から40年経った現在でも大人気シリーズでこのファーストモデルには“アラジン”という愛称までつけられています。僕が手に入れたモデルはレンズ全面のリングに放射状のラインが入っている初期モデルです。後期モデルはこのリングに数値目盛りが入っています。初期モデルの方が見つかりにくいそうです。これまで数百枚の撮影をしていますが故障も無くまだまだ使えそうです。

僕が購入した当時はすでにSX-70専用のフィルムは製造中止となっていましたので、600フィルムを代用していました。600フィルムは感度がISO600ですので約2段分の露出を落とすNDフィルターをレンズに付けて使用します。SX-70専用フィルムより600フィルムの方が黄色味やコントラストが強く温かみとシャープさが抜群に気持ちが良かったです。



この独特な風貌のために周りの視線はやはり気になりますが、そんなことを気にしていては良い写真は撮れませんので、心を鬼にしてがんがん撮影していました。ちょうどテレビドラマでキムタクさんがこのSX-70を持っていたらしく、そんなドラマに興味の無い僕は1回も見ていませんが、撮影中に「キムタクの真似か!」と思われるのではないかと変な心配までしていました。キムタクの真似でも福山の真似でも結構。自分が撮りたいモノを撮るだけです。

さてこのSX-70ですが、露出のコントロールにはそれなりの知識が必要です。SX-70は失敗が多いという方もみえるようですが、それはこの知識が浅いためだと思います。画面全体が黒いものを撮るとき、反対に画面全体が白いものを撮るときにこの露出コントロールを正確にしなければなりません。1枚300円のフィルムが無駄になってしまいます。できれば1発必撮です。逆光などはコントロールしても性能面で限界もありますが、できる限りのコントロールは必要です。自分が狙っている被写体が黒いものだったり画面全体が暗い場合はそのまま撮るとシャッタースピードが遅くなり思ったより明るめに撮れます。この場合はコントロールダイヤルを黒側に回してマイナス補正します。反対に白いものだったり画面に強い光が入り込んでいたりする場合は暗めな写真になってしまいますので、コントロールダイヤルを白側に回してプラス補正します。この感覚を研ぎ澄ましていくと失敗は無くな ります。

とはいってもポラロイドの場合明るく飛んでしまったり、暗くつぶれてしまってもそれが良い味になる場合もありますので失敗とか成功とか言うのは野暮かもしれません。露出のことを気にしずにバシャバシャ撮った方が良いのかもしれません。お金があれば…。

そしてポラロイドフィルムは約7㎝四方のほぼ正方形の可愛い写真ができあがります。この小さな1枚を貴重なものにしてしまうよりはたくさん撮って何十枚もの写真をごちゃ混ぜにして見る方が楽しいです。


SX-70のアクセサリーにはクローズアップレンズがあります。600フィルムで撮影する場合に必要なNDフィルターの前に取り付けます。花に止まって蜜を吸う蝶々や子供のアップなども撮れて結構遊べます。

現在は600フィルムの生産も中止となり、別の会社がPXシリーズなどを生産しているようですが、あまりにも使い物にならなかったので今は撮影を中止しています。PXシリーズは現在改良段階ですので、描写が安定して値段相応に楽しめるようになるのを期待しています。

2013年6月7日金曜日

スタジオポートレイト撮影会&勉強会!


スタジオポートレイト撮影会&勉強会を開催します。今回は定常光照明を使って基本的なライティングパターンをいくつか体験していただこうと思います。色温度が3200Kですので、フィルムカメラで参加される方はブルーフィルターを付けたり、タングステンフィルムを使うなどの対策が必要です。モノクロなら問題ありません。デジタルカメラの場合はホワイトバランスをランプマークにするか、マニュアルで3200Kに設定すると通常の色に近くなります。

グレーの背景紙でスタイリッシュな感じと、赤色の背景紙でポップな感じの写真を目指したいと思います。

少人数制ですので、早い者勝ちです。

2013年6月3日月曜日

ニコマートFTN

発売 1967年10月
製造中止 1975年
形式 露出計内蔵35㎜フォーカルプレーンシャッター式一眼レフレックスカメラ
レンズマウント ニコンFマウント
シャッター 上下走行式メタルフォーカルプレーンシャッター
シャッター速度 B、1、1/2、1/4、1/8、1/15、1/30、1/60、1/125、1/250、1/500、1/1000秒
ファインダー ペンタプリズム使用アイレベルファインダー マイクロプリズム式距離計内蔵 マット面とフレネルレンズ使用
ファインダー視野率・倍率 約92% 50mm標準レンズ使用で無限遠の場合、約0.86倍
ミラー クイックリターン式
絞り込み ボデー上部の絞り込みボタン
巻き上げ レバー式 1作動 155度 露出計回路用スイッチと連動
コマ数計 自動復元順算式
巻きもどし クランク式
シンクロ接点 MおよびX接点 1/125秒以下の低速においてスピードライトに同調
露出計 中央部重点測光 シャッター速度と絞りに両連動する定点式CdS露出計(TTL方式) 水銀電池1.3V1個使用


ニコマートFTNはニコンFの廉価版という位置づけのようです。個人的にはニコンFより使いやすいと思います。小説「マディソン郡の橋」でロバートキンケードはニコンFに50㎜レンズと24㎜レンズを付けて橋の撮影をしていました。ついでに不倫相手の女性も撮っていました。映画ではクリントイーストウッドが演じていましたね。かっこよかったです。ロバートキンケードはナショナルジオグラフィックからの依頼でマディソン郡にある幌つきの橋を撮影していたそうですが、ナショナルジオグラフィックにはロバートキンケードというカメラマンは所属していないとのことですのであくまでも小説の話のようです。映画 ではカメラのことにはほとんど触れていませんが、小説ではニコンのカメラのことが詳しく描写されていました。僕がニコンを使っているのもロバートキンケードの影響です。

僕が写真を撮り始めた当時は既にニコンF5が登場していていましたが、そんな高額なカメラを持てるわけもなくニコンF3で手を打つことにしました。レンズは勿論50㎜と24㎜。このセットでロバートキンケードになりきっていました。


マニュアルフォーカスのカメラでは先に構図を決めてピント合わせはその後になります。オートフォーカスカメラの場合はフォーカスロックが使えるためピントを合わせた後フォーカスロックしてから構図を決めるという順番になります。構図を最初に強く意識することになるマニュアルフォーカスカメラは構図の上達には最適だと思います。構図を考える癖を付けてしまえばフォーカスロックを使ってもちゃんと構図を整理できるようになります。

その後ニコンF4を使うようになってからはF3の出番はほぼ無くなり手放してしまいました。さらに最近はデジタルカメラを使うようになってしまったためF4も手放してしまいました。デジタルは撮影後にフォトショップなどのレタッチソフトでトリミングや角度調節ができてしまいますので構図のことはほとんど意識しなくなっていました。そしてあるとき気が付きました。『完全に構図が下手くそになっている!』ということを。


このままではまずいと思い、マニュアルフォーカスカメラをもう一度手に入れることにしました。そこで白羽の矢が立ったのがこのニコンFTNです。普及機なだけあって中古でも探せば程度の良いものが見つかります。このようなマニュアルカメラの場合は見た目が綺麗でもシャッタースピードが狂っていて安くなっていることがあります。購入前に腕時計の秒針で低速シャッターの精度を確認しなければいけません。腕時計を忘れた場合は、1秒=「おじーちゃん」、 1/2秒=「おばちゃん」と口に出して言うとある程度正確さが確認できるそうです。

幸い程度も良く僕の好きなブラックボディが手に入りました。これでも3件くらいの中古店をはしごしての購入です。ネットのオークションでも近頃は信頼できるようになってきているようですが…。

2013年5月23日木曜日

Nikon D4


レンズ交換式一眼レフレックスタイプデジタルカメラ
ニコンFマウント
有効画素数 16.2メガピクセル
撮像素子方式 36.0×23.9 mmサイズCMOSセンサー、ニコンFXフォーマット
記録画素数 4928×3280(L)、3696×2456(M)、2464×1640(S)
記録媒体 XQDメモリーカード、コンパクトフラッシュカード(Type I、UDMA対応)
視野率 FX:上下左右とも約100%(対実画面)

動画機能
動画最長記録時間 29分59秒
動画ファイル形式 MOV
映像圧縮方式 H.264/MPEG-4 AVC
動画音声記録方式 リニアPCM
録音装置 内蔵モノラルマイク、外部マイク使用可能(ステレオ録音)、マイク感度設定可能
動画感度 感度自動制御範囲をISO 200~12800または200~Hi 4に設定可能


「D4」はニコンが世界に誇る1眼レフのフラッグシップ機です。画素数はあえて1600万画素に抑えその分高感度の描写性能が飛躍的に向上しています。「D3」が発売されたときISO800を超える高感度でもノイズの発生が抑えられその画質と解像感に世間は圧倒されました。D4が発売された今でも「D3の高感度で十分」というカメラマンは多いです。しかし低照度の屋内でISO800やISO1600辺りを使ってみると確実にD4の方が優れていることがわかります。

ただ僕はISO800やISO1600を使うことは少ないためどちらかと言えば低感度の描写を重視しています。晴天時の屋外撮影で日中シンクロをしたい場合、シャッタースピードはシンクロ同調の1/250秒で固定されてしまいますので絞りを絞って対応するしかありません。そんな場面でISO50のような低感度が使えると被写界深度を浅くできます。

D4の常用感度はISO100からですので、ISO50に相当するL 1.0は減感という扱いになります。取説には減感すると硬調な画質になると書かれていますがあまりピンとこない表現です。今のところISO100でもISO50でも大きく画質を変えてしまうような差は見られないので、その場の環境にあわせて設定しています。


仕様面での特徴は記録媒体にソニー製のXQDメモリーカードを導入している点です。恐らく動画機能面を強化するための新仕様なのだと思います。動画撮影をするカメラマンにとってはその書き込みスピードの速さは重宝されるのではないでしょうか。ただその動画機能ですが、1眼デジタル動画という分野は未だ開発途上の分野であって、記録媒体を変えたからと言って「動画を本格的にやってみよう!」なんて思うカメラマンは少ないと思います。機材としてはバッテリー消費の問題やオートフォーカスの問題、編集面ではハイスペックのPCが必要になってきますので簡単には参入できません。スチールがメインの僕にとってはコンパクトフラッシュのダブルスロットを残しておいてほしかったです。

2013年5月22日水曜日

PC Micro-Nikkor 85mm F/2.8D

焦点距離 85mm
最大絞り f/2.8
最小絞り f/45
レンズ構成 5群6枚
画角 28°30′
最短撮影距離 0.39m
絞りの羽根枚数 9枚
アタッチメントサイズ 77mm
大きさ 約83.5mm(最大径)×109.5mm(バヨネットマウント基準面からレンズ先端まで)
質量(重さ) 約775g



 

ニコンの現行シフトレンズには「PC-E Micro NIKKOR 45mm F2.8 D ED」「PC-E Micro NIKKOR 85mm F2.8 D」「PC-E NIKKOR 24mm F3.5 D ED」の3本があります。シフトレンズとは、撮像素子に対してレンズを平行移動させ、遠近感により発生するパース(高い建物を見上げたときに先細りになる 現象)を補正する「シフト」や、撮像素子に対してレンズ面を傾けてピントの合う範囲を調整する「ティルト」などの操作ができるレンズのことです。ニコンの レンズでは広角レンズに「シフト」ができるレンズが昔からありましたが、「ティルト」までできるレンズはこの「PC Micro-Nikkor 85mm F2.8 D」だけでした。この「ティルト」機構が無いと今流行のジオラマ風写真は撮れません。

僕もジオラマ風写真が撮りたくてこのレンズを購入したのですが、今ではブツ撮りや料理、ポートレイトの撮影に重宝しています。シフト機構はほとんど使いませんがティルト機構でピントの合う範囲をある程度自由にコントロールできることで表現の幅が大きく広がりました。

デジタルカメラの場合、レンズの性能を最も良く発揮する絞りはf8前後と言われています。料理の撮影の場合はf8で絞りを決めて被写界深度をティルトで調節します。

シフト機構は通常パースを抑えるために使うのですが、ブツ撮りなどで商品の存在感を強調するためにあえてパースを強く効かせることもできます。ポートレートの場合はモデルさんの足を長く見せたりもできるのですが85㎜では効果は実感しにくいです。24㎜か45㎜のPCレンズが必要になり ます。


2013年5月21日火曜日

ユニキット UK-20S


キット構成
ユニフォーカス650(AL-UF-6-2)×2
ユニフォーカス1000(AL-UF-10-2)×1
延長コード 5m(AL-EX2-5)×3
コンパクトスタンド(AL-1052JBAC-STAND)×3
電球(AL-UF-6-2用)(AL-JPD100V-500WC)×2
電球(AL-UF-10-2用)(AL-JPD100V-1000WC)×1
キャリングケース(AL-UK-20S-3用)(AL-CF-121-2-CASE)
W920×H355×D265 22.4kg

 ユニキットは色温度3200Kのハロゲン電球が付いたロケーション用ライティングセットです。500Wが2灯、1000Wが1灯の3灯セットです。これだけあれば簡単な映画は撮れそうです。色温度を変えるにはブルーのセロファンをライトの前にかざすなどして対応します。デジタルカメラの場合はカメラ側の色温度設定である程度好みの色が出せます。モノクロ写真の場合は色温度は無視できますので利用価値は高いと思います。

人物撮影の場合は直当てだとかなり硬い影が出ますので、アートレなどでディフューズすることが多くなると思います。モデルさんの陰影はこのアートレの位置で調節します。仮に光源が傘バンだとすると余分な光が背景に届いてしまうため、黒ケント紙などでカットします。ユニキットにはバーンドアが付いていますので、この光をカットする作業も簡単にできます。人物撮影はライティングを決定するのにあまり時間は費やせません。ユニキットのような定常光なら影の出方を確認しながらセットできますのでセッティングも短時間で完了します。さらに撮影会のようにカメラマンが複数いる場合、ストロボ光ではシンクロコードを順番に渡しながら1人づつの撮影になりますが、定常光ならいつでも誰でも何人でも好きなときにシャッターが押せます。

テクニック的な面では、人物の動きを表現したい場合に定常光は有効です。ストロボ光は瞬間光なので動きが止まった静的な仕上がりになります。定常光の場合はシャッタースピードを遅くして動いている部分をブラすことができ動的な仕上がりにすることができます。さらに連写もできますので、まばたきの多いモデルさんでも確実に成功写真を残せます。

2013年5月17日金曜日

ワイヤレススピードライトコマンダーSU-800



クリエイティブライティングシステム対応カメラに装着して、SB-910、SB-900、SB-800、SB-700、SB-600、SB-R200の発光量をワイヤレスで制御可能。

ワイヤレススピードライトコマンダーSU-800をボディに取り付けると離れた所にあるスピードライトを遠隔操作で発光させることができます。光量の調節も手元でできます。こんな魔法のようなアイテムが世の中には存在しているのですね。もうモノブロックやジェネレーターなんかはいらなくなってしまい ますね…

…確かにできなくはないのですが、僕の場合あまり出番はなさそうです。勿論、人によって撮り方は違いますので便利だと言う方も当然みえると思いますが。

1番の理由は撮影のリズムが狂うことです。人物撮影が多い僕にとってはこのリズムは非常に大切です。僕は未だにマニュアルフォーカスでピントを合わせることが多く低照度の屋内での撮影ではオートフォーカスは信用できません。そこでフォーカスのブラケットを多用しています。ピントの合っていないところからシャッターを切はじめピントを合わせながらシャッターを切っていき、ピントが合わなくなったのを確認してシャッターを切るのを止めます。こうすればどれか1枚はピントは合っているでしょう。こんなときスピードライトのチャージの遅さがネックになってしまいます。

2番目の理由はロケに使えそうで使えないところです。ワイヤレスで発光できるということは電源が確保できないロケ撮影での使用に期待をかけてしまいます。軽装備でのロケ撮影を目的にスピードライトを使うわけですので、あまりごっつい三脚をスタンドとして使ったり、ウエイトをわざわざスタンドに吊るすというのは本末転倒な気がして当然軽量のスタンドにスピードライトを乗っけることになります。すると足場の悪いロケでは簡単に転倒してしまいます。やはりロケ用照明は安定感が命!太目のスタンドにウエイトをしっかりぶら下げパナソニックのPE60SGを傘バウンス。これをラジオスレーブでワイヤレスにします。これが今のところ最適なロケ用のシステムとなっています。スピードライトのようにハイスピードシンクロ機能なんかはできませんが、感度を下げてスピードシンクロに対応させます。実際スピードライトのハイスピードシンクロ機能ではシャッタースピードが速くなればなるほどガイドナンバーがみるみる落ちていき直当てでかなり近付けるか、スピードライトの数を増やすかしないといけません。

3番目の理由はスピードライトの値段です。ニコンSB-910はだいたい40,000円ほどです。コメットCT-200jrはだいたい49,000円ほどです。価格差10,000円程度なら迷わずコメットです!

2013年5月7日火曜日

MacBook Pro

MacBook Pro

15インチ:2.7 GHz Retinaディスプレイ
2.7GHzクアッドコアIntel Core i7
(Turbo Boost使用時最大3.7GHz)
16GB 1,600MHzメモリ
512GBフラッシュストレージ1
Intel HD Graphics 4000
NVIDIA GeForce GT 650M、1GB GDDR5メモリ
内蔵バッテリー(最大7時間駆動)
高さ:1.8 cm
幅:35.89 cm
奥行き:24.71 cm
重量:2.02 kg

Web関係の仕事が増えていくとデータのやり取りや周辺機器の揃えやすさの面でWindowsを使うようになりました。色再現はsRGBで統一されており、特に大きな問題もなく5~6年はWindowsのノートとデスクトップであらゆる作業をこなしていました。ところがここ1年ほどの間に少しずつ様子が変わってきました。「なんか色がおかしい」という声をいただいてしまうようになってきました。iPhoneやiPadが飛躍的に普及したために高解像 度、高画質のデータを多くの消費者が目にするようになりそれに伴い色に関しても気になり始めたということでしょうか。

1人暮らしを始めたとき、お尻に爆弾を抱えている僕はまず便器の色に合わせて温水便座をネットで購入しました。しかし届いた商品を取り付けてみると便器の色と違いました。夜トイレの電気の下で見た便器の色を僕は勝手に「白」だと思い込んでしまっていたのです。実際は淡いピンクだったため届いたオフホワイトの温水便座とは色違いになるわけです。

「色」というのは意外と厄介なもので、ある人が「赤」といっても他の人には「茶色」に見えたり、昼間は「白」だと思っていても夜見ると「黄色」だったり、料理の写真なんかは正確にホワイトバランスを取って撮影するよりアンバーかかっていた方が美味しそうに見えたり…。これは恐らく人間の脳が判断する色と実際の色に誤差が生じるためだと思います。

撮影の仕事の場合いちいちそんな話もできませんし、「RAWで撮っておいたからあとはお好きな色に直して使ってください」と言っても誰もがRAW現像ソフトを所有しているわけではありません。sRGBはそういう問題を解決してくれる救世主のはずでしたが残念ながら何の解決もできませんでした。多くの機器メーカーが参入しているWindowsは確かに周辺機器が安価に揃えやすかったり互換性が高いなどのメリットはありましたが、「色」に関しては騙し騙しの状態を続ける以外方法は見いだせなかったようです。


そこで登場するのがMacというわけです。Mac同士でやりとりする限り色が大きくばらつくことはありません。さらに印刷の結果とも近い色が期待できます。15インチMacBook Proは2,880 x 1,800ピクセルという高解像度のRetinaディスプレイが最大の売りなのですが、やはりノートPCですので、正確なピントの確認はある程度まで拡大しないと判断が付かず、1枚1枚の写真のピントのチェックにいちいち写真を拡大するという作業は非常に骨が折れます。この点の解決にはThunderbolt Displayを購入するしかないと思います。

フィルムカメラで仕事をする場合は最終的な仕上がりはカメラマンにしか想像できませんので、お客様はそのカメラマンを信用する他ありませんでしたが、デジタルカメラが主流の今は最終的な仕上がりまでその場でチェックを受けることが当たり前という面倒臭い時代になってしまいました。そんなときにはこの高解像度のMacBook Proが大活躍してくれます。カメラ背面の小さなモニタでチェックされるとかえって何度も撮り直しさせられてなかなか撮影が終わりません。何度も撮らされたあげく大抵は「最初のカットで!」の一言で終わるというのがお約束のようでした。MacBook Proでの確認ならほとんど一発OKとなるわけです。

ハッセルブラッド

ハッセルブラッド500c/m

ハッセルブラッドには6×6㎝判のVシステムと、6×4.5㎝判のHシステムがあります。Hシステムは現行の中判デジタルカメラへと進化しています。さらにVシステムにはレンズシャッター式の500シリーズやフォーカルプレーンシャッター式の2000、200シリーズ、広角撮影用のSWシリーズなどがあります。500シリーズの中でも500c/mはシステムの完成度が高く中判カメラの頂点に君臨しつづけていました。

僕もいつかはハッセルを使ってみたいと思いつつその価格と素人には扱いにくいという評価のために長年躊躇していました。ところが35㎜ デジタルカメラの台頭で中判フィルムカメラの中古価格がみるみる下がり始めました。ハッセルブラッドも「使えなかったら眺めていればいいか」とまで思えるほどに価格が落ちてきましたのでついに購入しました。

ボディーは500c/mブラック、C80㎜標準レンズ、A12フィルムマガジン、このセットで20万円以内で納まりました。程度はかなり良いものでしたが2~3回の試し撮りでフィルムマガジンのカウンターが動かなくなったのでマガジンスライド(遮光版)が収納できるものを追加で購入しま した。




「ハッセルブラッドの取り扱いにはいくつかの約束事がありそれを守らないとすぐに故障して莫大な修理費がかかる」という情報が巷に溢れていますが、どうもガセ情報だったようです。「クランクを回転させ常に次の撮影が可能な状態にしておく」この1点のみを気を付けるだけで、フィルム交換もレンズ交換も非常に簡単にできます。以前使っていたマミヤRZ67の方が取り扱いに慣れるまで時間がかかったような気がします。約束事といっても全てごく当たり前の操作ばかりで理にかなっていてその完成度は秀逸です。写真上がシャッターを切った直後の状態、写真下が次の撮影が可能な準備状態です。カウンター横の2つの窓で確認します。2つの窓が白色であればマガジン交換やレンズ交換などが可能な状態です。

考えてみればハッセルブラッドの500シリーズは500cの発売から60年近くもシステムの変更が無く当時の部品がそのまま現行の機種にも使えるという奇跡的なカメラです。仮に扱いにくいさや機能面に問題があるのであればこの60年の間に修正なり変更なりがあって当然のはずです。


 僕は残念ながらコーティングの違いによるレンズの描写やカールツァイスレンズの解像感というものには鈍感で撮影された写真に大きな影響が出ない限りはほとんど気にしません。それよりも「シュポンッ」というシャッター音や正方形のフォーマットで構図を考えるときのゾクゾク感のような部分を重視してしまいます。デジタルカメラは大変便利でフィルムカメラでの仕事のときに付きまとった「ちゃんと撮れたかな?」という不安感から解き放たれたことが最大のアドバンテージだと思っているのですが、愛着が出るようなデジタルカメラは今のところ出会えていません。その点フィルムカメラには1眼レフに限らず2眼レフのオシャレな風貌やレンジファインダーの背景にある開発の歴史など愛着を持たずにいられないカメラがいっぱいあります。その中でもハッセルブラッドがその完成 された機能とともに兼ね備える魅力は眺めているだけでは味わえず、手になじむほどに「このカメラで何か撮りたい!」という気にさせてくれる愛おしいカメラ です。

レンズの選び方


焦点距離による描写の違い
①同じ絞りの場合、広角になるほど被写界深度が深く、望遠になるほど浅い。
②広角になるほどパースペクティブ(近景と遠景の差)が大きく望遠になるほど小さい。

※被写界深度…ピントが合っているように見える前後の範囲。ピントを合わせたポイントから手前側の距離の方が短く、奥の距離の方が長いという性質がある。写っている範囲のすべてにピントが合っている状態をパンフォーカスといい、広角になるほどこのパンフォーカスが得られやすい。


標準レンズ 35㎜~50㎜
 ●肉眼で見ている範囲に近い画角を持つ。
 ●遠近感も肉眼で見たものに近いため自然な描写ができる。
 ●自然=平凡になりがちなため使いこなしが難しい。

広角レンズ
 ●肉眼で見るより広い範囲を写すことができる。
 ●近くのものが大きく写る。
 ●歪みが大きい。=非現実的なインパクトの強い構図が得られる。
 ●あまり絞らなくてもパンフォーカスが得られる。

望遠レンズ
 ●肉眼ではかすかにしか見えない遠くにある被写体を大きく写し取ることができる。
 ●被写体に近づけない動物写真やスポーツ写真には必須。
 ●被写界深度が浅い。=背景がボケやすい。
 ●「圧縮効果」による緊迫感が得られる。

ズームレンズ
 ●単焦点レンズ2~3本分の画角を1本でまかなえる。

測光モードの選択

平均測光             中央部重点測光           スポット測光

1眼レフカメラはTTL(Through the Taking Lensの頭文字)と呼ばれる露出計を内蔵しています。このTTLがレンズに入ってくる光の量を測定し撮影者に教えてくれます。プログラムモード、絞り優先モード、シャッタースピード優先モードなどのオートモードで撮影する場合はこのTTLの測光値を頼りに撮影しています。TTLは物体が反射した光を測る 反射光式露出計なので、物体の反射率に大きく左右されるという欠点があります。これを修正して適正な露出を得るために、測光モードの切り替えやAEロックなどを駆使して露出補正しなければなりません。マニュアルモードで撮影する場合はこのTTLについては学ぶ必要はありません。しかし、スピードライトを使って撮影を行う場合はこのTTL測光を利用したTTLオートモードが非常に高性能で便利なためTTLの特性や測光モードについては理解しておきましょう。

一眼レフカメラには複数の測光モードが搭載されており、撮影条件や多様な被写体に対して適正な露出が得られるように使い分けをすることができます。「平均測光」「中央部重点測光」「スポット測光」などの方式があり、メーカーによって方式名の呼び方が異なっていますが、全てこの3方式に分けられます。

平均測光(多分割測光)
画面をいくつかに分割し、それぞれの部分から得られる被写体の明るさをカメラのマイコンが総合的に演算して、最適な露出を選択するように作られている。平均測光の精度がそのままメーカーの評価につながるため、とても高性能になっている。よほど特殊な光線状態でない限り、この測光方式で適正な露出を得ることができる。

中央部重点測光
「ファインダー視野」の中央部分(約12㎜の円内)を重点的に測光する。特に中央部分の露出を重視したい作画意図がある場合などに有効。中央部重点平均測光は周辺部の情報も加味される。

スポット測光
「ファインダー視野」のほぼ中央(約3㎜の円内)のみを測光し、特定部分だけの明るさを基準にした露出の測光方式。狙ったポイントの露出だけを的確にとらえることができる。

2013年4月30日火曜日

適正露出とは?

露出が変わるということはカメラに入ってくる光の量が増減することです。光が多く入ってくれば明るめに写り、少なく入ってくれば暗い写真になります。どの程度の明るさに写すかを決めるのが露出コントロールです。
明るすぎて、白い部分のトーンが消えてしまっていることを「飛ぶ」と言い、暗すぎて黒い部分のディテールが分からなくなっていることを「潰れる」と言います。飛んだ部分が多い写真を「ハイキー」の写真、潰れた部分が多い写真を「ローキー」の写真と呼びます。

ハイキーとローキーのどちらにも偏りのない露出を「標準露出」と呼びますが、偏りのない写真が必ずしも最適な表現だとは言えません。晴天の雪山でスキーをしている写真の場合、標準的な明るさで撮影すれば周りの白い雪が飛ばないように写すため白い雪はグレーに近くなります。するとスキーヤーは肉眼で見るよりも暗めに写ることになります。そこでスキーヤーをもっと明るめに写るように露出をコントロールします。こうしてできた、撮影者の意図する明るさのことを「適正露出」と呼びます。

適正露出を得るために行う露出コントロールのことを「露出補正」と言います。露出補正の方法には、撮影シーンやどの撮影モードを使用するかによっていろいろな方法があります。プリント時に現像時間を変えたり、パソコンで補正したりすることもできますがそれはあくまでも最終段階の微調整であると捉えるべきです。後処理ができることは大変メリットは大きいのですが、それなりのリスクが伴うことにもなります。露出補正の方法は基本的な方法は次の4つです。

①カメラボディーによる露出補正
ほとんどのカメラには前後2段くらいの露出補正機能が付いて、予めカメラ内蔵露出計(TTL)の数値より明るめに(あるいは暗めに)写るようにセットしておくことができます。

②AEロックの活用
標準反射率をもつと思われる部分をスポット測光してAEロックをかけます。フレーミングを当初狙っていた位置に戻して撮影します。

③感度を切り替える
デジタルカメラならいつでも感度の切り替えは可能です。より明るくしたい場合は感度を上げ、暗くしたい場合は感度を下げます。

 ④マニュアルモードによる露出補正
絞りとシャッタースピードの両方を撮影者自らが選ぶことができるため、明るさも暗さも思い通りにコントロールすることができます。


 ①番は構図を変える度に補正の量を調節しなければならず、デジタルカメラの場合はダイナミックレンジ(識別可能な信号の情報量)がよりシビアなため、多少の露出ミスも致命的です。何度もチェックして補正の量を調節できる時間の余裕があるときのみ有効です。②番は測光モードの中のスポット測光を露出計として使う方法です。カメラの測光モードを常時スポット測光にしておくのは現実的ではありません。狙った露出を得るには最適ですが、測光モードの変更のわずらわしさや単体の露出計に比べると精度が落ちることなどから実用的ではありません。③番はカメラ内蔵露出計(TTL)を活用しないマニュアルモードの場合のみ有効です。ただ、明るさを求めて感度を高くし過ぎるとノイスが目立ち始めるため注意も必要です。④は絞りとシャッタースピードの組み合わせを変えて明るさを調節していきます。被写界深度がどの程度必要なのか、手持ちでもブレないか、などを考えながら撮影者の主体性を重視した補正方法です。ほんの十数年前までは④番の方法しか無く、それだけに撮影者の力量が問われ、表現意図が色濃く写真に出てくるのです。

絞りやシャッタースピードのそれぞれの数字が表現にどう影響するのかが大まかにでも分かっていないと最初はむずかしく感じるかもしれません。しかしカメラの機能に任せていてはいつまでたっても道具として使いこなすことは出来ません。さらに外部ストロボ撮影ではマニュアルモードでしか使えません。

ホワイトバランスとは?

色温度設定

5260K(ケルビン)

さまざまな色温度の光源のもとで、白色を正確に白く映し出すように補正する機能のことをホワイトバランス機能と言います。ホワイトバランスが取れていないと肉眼では自然に見えていた色がカメラで撮影すると不自然な色に写ることがあります。例えば、蛍光灯の下で太陽光用のフィルムや、太陽光のホワイトバランスで撮影すると緑色がかった不自然な色に写ります。また、太陽光用のフィルムで白熱灯に照らされた被写体を撮るとオレンジ色がかって写ります。これを補正するのがホワイトバランスです。

撮影を始める前に適正なホワイトバランスを設定しておきましょう。オートやプリセット(電球、蛍光灯、曇天など)も用意されていますが、外部ストロボを使ったり高感度やスローシャッターでの撮影では色かぶりが激しくこういったモードでの対応には限界があります。色温度設定で適正なホワイトバランスを設定する癖をつけておきましょう。

色温度

色温度はK(ケルビン)という単位で表示します。デジタルカメラでは、2500K~10000Kの間で細かく設定できます。数字が小さいほど青が強まり、数字が大きいほど黄色が強くなっていきます。朝焼けや夕焼けの赤味を取り除きたい場合は2000Kや2500Kなどの小さい数字に設定します。曇天時や日陰の青味を取り除きたい場合は6000Kや8000Kなどの大きい数字に設定します。また、逆の設定にするとで赤味や青味を強調することもできます。さらにそれぞれの色温度に対してM(マゼンタ)を強めたり、G(グリーン)を強めたりすることもできます。

RGBは光の表現法の一種で、赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)の3つの原色を混ぜて幅広い色を再現する加法混色の一種です。RGBは3原色の頭文字です。ブラウン管や液晶ディスプレイ、デジタルカメラなどで画像再現に使われます。

CMYKは色の表現法の一種で、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の4種ですCMYKは頭文字1字を取ったものです。但し同様の意味でCMYBkと表現される場合はBkはブラックを指します。

RGBとCMYの関係

2013年4月29日月曜日

ISO感度とは?

Hi 0.7

ISO 200


露出を決める3大要素の1つ、最後の1つはISO感度です。

デジタルカメラの場合は、

L 1.0、L 0.7、L 0.3、100、125、160、200、250、320、400、500、640、800、1000、1250、1600、2000、2500、3200、4000、5000、6400、8000、10000、12800、H 0.3、H 0.7、H 1.0、H 2.0、H 3.0、H 4.0

やはり感度も1/3段の刻みで並んでいます。覚えるべきは、

100、200、400、800、1600、3200

とりあえずこのくらいで十分です。ISO100から1段づつの刻みになっています。ISO400の1段高い感度がISO800です。感度が低いほど高解像度の画質が得られます。感度が高いほどノイズが目立ち画質の解像度が落ちます。

写真週刊誌にスクープされる芸能人の写真が荒いのは高感度で撮られているからです。グラビアページが綺麗なのはグラビア印刷だからですが低感度で撮られている写真が多いです。

明るさが十分に確保できる場合や三脚を使って低速シャッターが切れる場合などは低感度が使えますので高画質な写真が撮れます。シャッタースピードをより速めたいときは高感度にしていきます。あえてノイズを表現として入れたい場合も高感度を使います。ただ高精細な写真をレタッチでノイズを加えることはできますが、ノイズの入った写真のノイズを除去するのは非常に困難なため、なるべく低感度で撮っておくほうがベターです。

高感度になるほど環境光の影響(色かぶり)を受けやすくなるので、ホワイトバランス(色温度)の調節も考えなければなりません。

2013年4月28日日曜日

シャッタースピードとは?


x250
bulb

30秒

1/8000秒



シャッタースピードは、露出を決定するための3大要素の1つです。あとの2つは絞りとISO感度です。絞りは穴の大きさを変えることで光の量を微調整します。対してシャッタースピードは穴を通る時間を変えることで光の量を微調節する機構です。

手持ち撮影でもブレないシャッタースピードの目安が








焦点距離が50㎜なら1/50秒、100㎜なら1/100秒、500㎜なら1/500秒、このくらいが目安です。広角レンズはブレにくく、望遠レンズほど ブレやすいということです。この目安に照らし合わせてブレてしまう恐れがある場合は三脚を利用する、絞りを開ける、ISO感度を高くする、ストロボを焚 く、などの対応をします。

シャッタースピードの並びはメーカーによって多少違ったりはしますが、撮影に影響が出るような差ではありませんので、大まかにとらえてOKです。例えば1/60秒と1/50秒で撮られた写真を比べても露出差はほとんど感じません。では並びを見てみましょう。


x250、bulb、30"、25"、20"、15"、13"、10"、8"、6"、5"、4"、3"、2.5"、2"、1.6"、1.3"、1"、 1.3、1.6、2、2.5、3、4、5、6、8、10、13、15、20、25、30、40、50、60、80、100、125、160、200、 250、320、400、500、640、800、1000、1250、1600、2000、2500、3200、4000、5000、6400、 8000


「x250」は外部ストロボをシンクロコードでつないで発光させるときの同調するシャッタースピードを示しています。1/250秒より速いシャッタース ピードでストロボ撮影をするとシャッター幕の構造上の理由で画面の端の方からケラレが発生しだします。外部ストロボでの撮影の場合は、1/250秒以下の シャッタースピードでの撮影となります。

「bulb」バルブモードはシャッターを押している間、露光をし続けるモードです。

「"」マークが付いている数字はそのまま秒数を表します。「30"」は30秒です。「"」マークが付いていない数字は「1/○○秒」の○○の部分(分母) の数字です。「160」は1/160秒です。この並びは細かい刻み(1/3段)に適当な数字を割り当てているだけですのでこれを覚える必要は全くありませ ん。 
覚えるべき数字は、

 30"、15"、8"、4"、2"、1"、2、4、8、15、30、60、125、250、 500、1000、2500、5000

ほぼ等比数列ですので、覚やすいです。2倍づつになっています。この2倍づつの刻みまたは1/2倍づつの刻みが「1段」の刻みです。30"の1段速めると15"、1/30秒を3段速めると1/250秒となります。

標準レンズ(50㎜)で手持ち撮影を行う場合、1/60秒以下のシャッタースピードではブレてしまう可能性が高くなります。1/60以下の低速シャッター を使う場合は三脚を使います。人物や動物のように動きのある被写体はより速いシャッタースピードを選択しないと動きを差し止めることはできません。意図的 にブラして動きを表現したい場合はあえて遅めのシャッタースピードを選択します。

30"や15"などの低速シャッターを使えば、星空や暗い店内やロウソクのような淡い光でも明るく撮ることができます。 星の軌道を円形で表現するような天体写真はblubモードで30分や1時間や2時間という長時間露光を行います。

シャッタースピードを速くすれば動いている被写体を止めて写すことができ、反対にシャッタースピードを遅くすると動いているものがぶれて写ります。これを被写体ブレと呼びます。被写体の動くスピードによって、それを止めて写せるシャッタースピードの限界があり、遅くすれば遅くするだけ被写体ブレの幅が大きくなります。これを意図的に利用することで動きの表現をします。

スローシャッターにストロボ発光を組み合わせる撮影テクニックを「スローシンクロ」と言います。 手順は次の通りです。
 ①露光方式を「シャッタースピード優先」か「マニュアル」にする。
②内蔵ストロボの場合は強制発光モードにする。
③ストロボが発光しなければ確実に被写体ブレになるシャッタースピードにセットする。
④カメラを動かさずにシャッターを切る。
屋内などの暗い場所でスローシンクロを使うと背景の明るさを保ちながら被写体はストロボで照らされるためより自然な写真になります。

スローシンクロとは逆にストロボが同調するシャッタースピードの範囲内(1/250秒以下)で、背景の適正な露出より速いシャッタースピードとストロボ発行を組み合わせる撮影テクニックを「スピードシンクロ」と言います。晴天時の屋外で背景の露出を抑えることで被写体を浮かび上がらせる効果が狙えます。メーカー純正のスピードライトにはさらに高速シャッターに対応した「ハイスピードシンクロ」が使えるものもあります。1/250秒を超える全シャッタースピードに同調させることができるモードです。ただし、1/250秒を超えるとスピードライトのガイドナンバー(ストロボの出力を表す単位)が極端に落ちるため、距離を近づけたりストロボの数を増やすなどの対策が必要になってきます。

ストロボが、シャッター幕が開いた瞬間に光る場合を先幕シンクロ、シャッター幕が閉じる直前に光る場合を後幕シンクロと言います。このメカニズムを利用してブレの方向をコントロールすることができます。

2013年4月27日土曜日

絞りとは?


f値の配列


開放絞り
f5.6
レンズを通り抜ける光の量を微調節する機構が絞りです。絞り羽根と呼ばれる複数の板を円形に重ね合わせそれを開閉して調節します。絞り羽根が7枚なら7角形の穴、9枚なら9角形の穴になります。枚数が多いほど円形に近づくため綺麗なボケが楽しめます。ただ、瞬間的に開閉させなければならないため、枚数には限界があります。

この多角形の穴の大きさを一定間隔で区切り数字を割り当てたのが「f値」です。f値にはどんな数字があるでしょうか?デジタルカメラの場合、2.8、3.2、3.5、4、4.5、5、5.6、6.3、7.1、8、9、10、11、13、14、16、18、20、22、25、29、32……これを覚えることができれば覚えてください。ただ、ほとんど無意味です。
f16

覚えるべきは、「2.8、4、5.6、8、11、16 」この6つでいいです。あとの数字はこれらの区切りをさらに3分割して割り当てただけですので覚えても意味がありません。f2.8とf4の中間はf2.8半。こんな感じで大丈夫です。上の写真はフィルムカメラの時代にレンズにf値の指標がついているものです。

この6つの数字はある法則で並んでいます。小数点以下があったり整数だったり規則性は解りにくいかもしれませんが、√2倍(1.4倍)の並びです。2.8×1.4=約4、4×1.4=5.6、5.6×1.4=約8、8×1.4=約11、11×1.4=約16となっています。

どうして単純な整数で計算できるようになっていないのかというと、レンズを通る光の量を穴(だいたい円形)の大きさで調節するからです。円の面積を変えて調節しているのです。円の面積を求める公式は

半径×半径×3.14






です。細かい計算は文系の私の専門ではありませんのでここでは解説しませんが、平方根(二乗根)が出てきそうなことは理解できると思います。√2=1.41421356…(ひとよひとよにひとみごろ)なんて覚え方がありましたね。

f値を1.4倍すると光の量は半分になります。さらに1.4倍するとその半分になります。この刻みを「1段」と呼びます。f2.8からf4にすることを「1段絞る」と言い、光の量は半分になります。f2.8からf11にすることを「4段絞る」と言い、光の量は1/8になります。

よって、f値の数字が小さいほどレンズは開放に近づけた状態。f値の数字が大きいほど絞り込んだ状態になります。


このf値は被写界深度(ピントが合っているように見える距離)に影響を与えます。f値が小さいほど被写界深度は浅く(ボケやすく)、f値が大きいほど被写界深度は深く(ボケにくく)なります。

人物写真のように背景をボカして人物を浮き上がらせる効果を狙いたいときはf値を小さくするべきです。集合写真のように全員の顔がはっきりわかるように撮りたいときはf値を大きくするべきです。

ただ、被写界深度は、レンズの焦点距離や被写体までの距離やセンサー(フィルム)のサイズなどで変わりますので、「人物撮影のf値は○」「風景写真のf値は○」「集合写真のf値は○」と一概に答えがあるわけではありません。自分の使っているレンズのそれぞれのf値がどのような被写界深度なのかをだいたいで構いませんので知っておくことが大切です。

露出モードの選択


露出は絞りとシャッタースピード、そしてISO感度の3つの組み合わせで決まります。露出とは明るさのことですが、ここで言う「明るさ」は部屋が明るいとか、陽が昇って明るくなったとかの「明るさ」ではありません。

レンズを通った光がセンサー(フィルムカメラの場合はフィルム)に届く量のことです。レンズの面積が小さければ届く光の量は少なくなりますし、面積が大きければ届く光の量は多くなります。また、同じレンズの面積でも届く時間が短ければ光の量は少なくなりますし、届く時間が長ければ光の量は多くなります。さらに、ISO感度が低ければ光を届けるのに時間がかかりますし、ISO感度が高ければ光を届けるのに時間が短くなります。

カメラのプログラムモードはこれらの組み合わせをカメラが自動で選択してくれるモードです。何も考えず写真が撮れますのでちょっとしたカメラマン気分が満喫できます。

しかし実際には多くの場面で満足のいく写真は残せません。シルエットで撮りたい、真っ白なゲレンデを撮りたい、沈む夕日が海面に反射している場面を撮りたい、川の流れを幻想的に表現したい、ストロボを使ってモデルを撮りたい、モデルの目だけにピントを合わせあとはぼかしたい、夜景を撮りたい、星空を撮りたい、月明かりに照らされた街を撮りたい、流し撮りをしたい、花火をアート的に撮りたい、ホタルの乱舞を撮りたい、ライブハウスでスナップを撮りたい……これらの撮影にプログラムモードは適していませんのであきらめるしかありません。

ただ、幽霊スポットでシャッターが下りなくなる怪奇現象を楽しみたい方や撮ってる自分の姿に酔いしれたいだけの方はプログラムモードが適しているかもしれません。

「こう撮りたい」というのは「こう表現したい」という欲求です。カメラを表現するための道具として使うのであれば、画家が絵筆の使い方を学ぶように、彫刻家が彫刻刀の使い方を学ぶように、カメラの使い方(マニュアルモード)を学びましょう。

「絞り優先モード」や「シャッタースピード優先モード」はいくつかの条件下で使用する場合は非常に便利で優れた機能です。ではどんな条件下で使うと便利なのか?それを知るためにはマニュアルモードでの撮影がでなければ解りません。ということは結局マニュアルモードを覚えるのが 1番の近道なのです。

マニュアルモードは、絞り、シャッタースピード、ISO感度の3つを自分で決めなければなりません。デジタルカメラの場合はこれに加え、ホワイトバランス、ピクチャーコントロール、測光モード、画像サイズなど最初に決めなければならないことはまだまだありますが、ここではデジタルカメラでもフィルムカメラでも共通に理解しなければならない基礎的な部分だけで進めていきます。

絞り、シャッタースピード、ISO感度の3つは露出を決めるための要素ですが、それぞれに表現するための役割もあります。次回は順番にその役割について解説していきます。

2013年4月26日金曜日

色空間(カラースペース)の選択 sRGBとAdobeRGB


デジタルカメラの撮影メニューの中に色空間という項目があり、sRGBかAdobeRGBかを選ぶことができます。カメラの使用説明書は「DCFオプション色空間」とか「ICCプロファイル」とか聞きなれない言葉が並んでいてちんぷんかんぷん…。

僕もつい最近まで、「sRGBで撮っておけば間違いないよ」という周りのカメラマンの意見を信じてsRGBに設定していました。確かにブライダルのスナップ、Web用の素材、作品撮りなどには問題ありませんでした。

しかし、とうとう先日、印刷物の仕事先の方から色に対してクレームが入りました。 このままでは大切な仕事を失いかねません。そこで今まで避けて通ってきてしまった色空間について勉強してみることにしました。

デジタル環境の変化はとても早く、今勉強したことが数年先には無意味なことになってしまうこともじゅうじゅう承知の上での話です。


sRGBはCRTモニター(最近ではほとんど見なくなったブラウン管モニタ)の色再現域を元に国際電気標準会議で定められた色空間。一般消費者がインターネットや閲覧ソフトなどで画像を見る場合、個々で所有しているモニタのメーカーが違ったりスペックが違ったりしてもある程度同じような色に見せて、いちいちプロファイルを使わなくてもいいように統一させたもの。

対してAdobeRGBは印刷物の色の再現域をカバーするための色空間。印刷の色にはモニタでは再現できない色があるため、モニタで再現できる色をベースとした色空間を頼りにするとモニタで見る色と実際に印刷された色に大きな違いが出てしまう。モニタで見る色が印刷物と違っていればレタッチもできない。そこで印刷目的に推奨される設定がAdobeRGBとなっている。


確かに納得はできますが、ということはホームページを作ったり複数の人と写真を共有することを目的とする場合はsRGBで撮影して、印刷目的の場合はAdobeRGBで撮影しましょうってことになります。しかし撮影の度に色空間を設定するのはちょっと面倒ですし忘れることもありますよね。

そこで、僕なりの解決策です。まず、カメラの色空間の設定は常時AdobeRGBにします。印刷目的の場合はAdobeRGBのデータのままレタッチして納品します。問題はWebでの使用が目的の場合です。AdobeRGBで撮影した画像をPhotoshopでWeb用に保存すると恐らく色がかすれてしまいます。この時「sRGBに変換」というところにチェックを入れて保存すると問題なくWebでも使用することができます。

ホームページのデザインが完成!


『カメラくらぶ』の講師による個人レッスンがスタートしました。
ホームページのデザインもほぼ完成しました(公開はまだしていません)。
このブログでは、『カメラくらぶ』が主催するポートレイト撮影会のお知らせや
カメラに関する雑多な情報を発信していきます。
ご意見、ご感想、大歓迎です。